2010/05/02 Category : MUSIC 過去は未来によって変えられる 1時間ほど寝坊する(爆)。式典が開始する11時にはまだ私は築地本願寺へ着くことができない。仕方ないので途中ネカフェに立ち寄り、法要式典のUstream配信に有難くあやかることにする。ネカフェで合掌する客もどうかと思われるかもしれないが、私の人生において偉大なアーティストの命日にどうもクソもない。ねえhideちゃん、すごい時代になったね。インターネットで法要式典を生中継配信だって。これ、世界中の人が見れるんだよ。世界中のファンから、コメントが沢山届いてたよ。hideちゃんが昔やりたがったこと、イベントの現場をネットで配信すること。今もう、そんなの当たり前になりました。それがあなたの法要式典とは、なんとも皮肉なものですが。本来なら親族・関係者のみの法要を、ご好意でネット配信してくれたご家族の方々には本当に感謝です。実弟でありジャーマネの裕士は家族代表あんどお父様お母様、X代表としてよっちゃん、スプレビ代表としてI.N.A.ちゃん。それぞれがまず代表焼香をしました。ご住職の素敵なお話。12年前を振り返って、ファンのお行儀のよさを褒めていただきました(笑)。同じご住職の方でよかったです。喪主・裕士のあいさつ。時々言葉を詰まらせながら今日この日に集まってくれたファンとhideちゃんの大切な大切な仲間達へ感謝の言葉を述べています。自分の力が足りなくてhideちゃんが突然きえてしまったことを、ずっとずっと後悔し続けてきたこと…自分の罪だと感じ続けてきたこと…。彼の立場だからこそ背負い続けてきたその重荷は、少しは軽くなったのでしょうか。そのあとは、参列者による焼香。それが終わると法要式典は終わり、一般献花に入ります。椎名はここでネカフェを出て現地へ。ぶっちゃけあそこは通いなれています。なんせ昔の職場の目と鼻の先でしたから…(爆)。とりあえず現地に着くと最後尾までは1kmだと言われ辿り着けばやっぱり勝どき橋。12年前のあの日と同じ。12年前のあの日と同じように空は青く澄み渡り12年前のあの日と同じように強い陽射し、強い照り返し。12年前と違うのは、それがわかっていたので私は日傘を持っていったという事。これがなかったら相当辛かった。佃大橋でやっと折り返してそこからは結構スムーズに列は進みます。みんな、とっても行儀よく並んでいます。暑いし長時間立ちっぱなしなのに列は乱れたりしないし、割り込んだりする人は居ないしうるさく騒ぐ人など、もちろん、おりません。そしてみんな、思い思いの「喪服」に身を包んでいます。もちろんコスプレもいれば、ごく普通の「私服」な人も居ます。でもほとんどのファンは、フォーマルな喪服なり、ヴィジュアルロックな喪服スタイルなどで、hideちゃんの13回忌法要の列に並んでいます。それも12年前の、あの時と同じ。けれど12年前と違うところは、ファンのみんなは切なさと痛みを抱えてはいても、穏やかで和やかにあの場所へ集まったということ。いまなお消えることないhideちゃんへの感謝と愛情を伝えたくて、辛い場所であるはずの築地本願寺に勇気を出して赴いたという事。12年前、出棺の日は献花することができませんでした。並んでいたけど出棺に間に合わず諦めたのです。ただ前日の夜には、なんとか献花することができました。でも本願寺内には入れないので入り口前に設置された一般用の献花台に献花するのみでした。そして12年後の今日、本願寺内に入ることが出来ました。本願寺入り口の左右に大きなビジョンを置いてhideちゃんの映像を流し、入り口手前で一般参列者に献花用の花を配っていました。何色がいいですかと言われて、もちろんピンクを戴きました。hideちゃんの髪と同じ色のピンク。階段を上っていよいよ本願寺内へ入ると美しくて立派な祭壇。その祭壇両翼に黄金の翼。入り口に設置されたのと同じ映像を流す大型スクリーン。そしてたちこめるお焼香の匂いは、ここが13回忌法要の場であることを嫌でも痛感させてくれやがります。こんなに沢山の人が献花していれば、この和やかな空気のおかげで泣かずにすみそうだと思っていました。でも、駄目でした。ずっと遺影のhideちゃんを見ていたら、もうどうしたって涙が滲んできてしまいました。遺影の真ん前に立ち、戴いた御花を献花台に置いて手を合わせた途端全身が震えて、足元から崩れ落ちそうになって、必死で立っていました。よっちゃんも「この場に来た途端、崩れ落ちそうになった」と言っていましたが、本当に私もそんな風だったんです。わかるよ、よっちゃん(泣)。泣きたくなかったのに、結局泣きながら手を合わせ、ぶるぶる震える身体でhideちゃんに伝えたいことを伝えて、倒れてしまう前に顔を上げhideちゃんに一礼して去りました。係員の誘導に従って本堂内の出口をくぐる前に、hideちゃんの遺影を一度振り返って、そして築地本願寺を後にしました。なんというか、少し、スッキリした気持ちです。ファンにとっての築地本願寺。あの当時行った人なら忘れたくても忘れられない、ただただ悲痛で、混乱と嘆きの悲鳴が周辺を覆っていて。なのに空は馬鹿みたいに青くて晴れてて、しんみりしてるのがアホらしくなるくらいの真夏日が余計hideっぽくて。それでもあの日、あの場所の、何万人というファンの悲鳴は、泣き崩れるファンの群れはずっと耳の奥で、目蓋の裏に焼きついたままでした。棺を抱えて階段を降りるメンバー、hideがあんな物言わぬ木の箱に変わり果ててファンの前に現れたことに誰も彼も戦慄いて崩れ落ちて。hideちゃんのお母様がhideちゃんの棺が納められた霊柩車に乗ってhideちゃんのご位牌を抱えファンに頭を下げていたあの時、本願寺の正面扉が開いた時の、戦場のような壮絶な悲鳴。その悲鳴に重なる警備員の押さないでという怒鳴り声とけたたましい笛の音は、混乱を煽るようですらあって。hideを乗せた霊柩車が去った後の、現場は、そりゃもうひどいもんでした…。だからあそこは、築地本願寺は、行きたくなんかなかったんです。けれどXが復活して、Forever loveがhideのレクイエムとX解散のダブルパンチによる強烈なトラウマソングから、見事に、ただ純粋に美しい楽曲としての姿を取り戻したように築地本願寺という悲しく辛い思い出しかない場所は、今日ちょっと違う色に塗り替えられたかなと…。YOSHIKIが昔言っていた「過去は未来によって変えられる」ってこういうことだよなと…。例えどんなでも生きていれば、同じつらさも悲しさも味わったもの同士なんとか歩いていけば、いつの間にかそのつらい過去は少しずつ癒されていって別の姿に変わっていたりするんだなと。13回忌法要は、あの築地本願寺だったからこそ意味があった。行って良かったっしょ?、とあの松本さんは皆にそう思わせたかったんじゃないだろうか(笑)。やっさしーおにいちゃんですから。 PR